株式会社ヒマナイヌ
ヒマナイヌは2003年に広告プランナーの川井拓也と編集者の猪蔵を中心に設立された”企画と編集”をテーマにしたプランニングカンパニーです。21世紀初頭のネットメディア黎明期において、「アイデアと頓知で未来を明るくする」をモットーにみなさまのお役にたてるよう精進する毎日でございます。
株式会社ヒマナイヌは、広告プランナーの川井拓也さんと、編集者の猪蔵さんを中心に設立されたプランニングカンパニー。「21世紀初頭のネットメディア黎明期において、アイデアと頓知で未来を明るくする」をモットーにしたユニークな活動が注目を集めています。
「ソーシャルネットワーキングサービス 縁の手帖」「SNSビジネスガイド」「Twitterマーケティング~消費者との絆が深まるつぶやきのルール」といった著書、あるいは東京インタラクティブアドアワードの受賞など、すでにこの社名を見かけたことのある方も多いのではないでしょうか。
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(川井)私は元々はCM制作会社にいました。CM制作を本業にしていたんですが、CMだけではない新しいコミュニケーション領域に関心があったので、映画や番組、データ放送、ウェブサイトといったもののプロデュースをやるようになったんです。世界1周する客船の上に洋上デジタルプロダクションを設立して、移動しながらのマルチキャストを実践したり。広告の仕事は黒子になりますよね。それもおもしろいんですけど、そうこうしているうちに、自分で何かをやりたくなったので独立しました。独立して最初にやったのが、体験伝達メディア「ライフスライス」というプロジェクトです。カメラを首にかけておくと、一定時間毎にシャッターが自動にはたらいて、自分の行動を写真で記録していくことができるシステムです。今で言うところのライフログ、というようなコンセプトのはしりですかね。これが2002年度文化庁メディア芸術祭特別賞を受賞しました。このプロジェクトは、いろんな方面から注目されまして、いろんな人がコンタクトをとってきたんです。そこで出会ったおもしろい人たちと、一緒に活動できる場があったらおもしろいね、というような話になって、それでヒマナイヌを立ち上げたんです。私たちを含めて5名がコアになっています。
(猪蔵)私は、出版社を経て、古書漫画の取り扱いで有名な某社で役員をやってました。それから、映像製作会社でソフトウェアをプロデュースしたり、Barを開いたり、VJをやったり、ラジオ番組の構成をやったり…。一言でいえば、対象を限定しない「編集者」ということになるんでしょうか。川井に最初に会ったのは、彼がVJのテレビ番組制作で僕が取材されたのがキッカケだったんですよ(笑)。そこで意気投合して…と、まあ、不思議な縁ですね。
— それにしてもおもしろい社名ですよね。
(川井)会社を立ち上げる準備をしている時に南青山にスペースを借りてまして、その近所のタバコ屋の軒先に犬がつながれてたんですよ。レトリバーが一日中暇そうにしてるわけです。近所の人がその前を通りかかるときに、その犬を撫でたり、声をかけたりしていくんです。その犬を媒介にして、みんながつながってる感じで、おもしろいな、と。当時大変お世話になって、私が尊敬していた先輩の清水欣也さん(日本テレビのプロデューサー。太陽にほえろ!などで知られる。故人)が、「ヒマナイヌっていう名前、みんなに愛されそうでいいじゃないか」と言ってくださったので、そうしたんです。この会社を媒介にして、おもしろい人やコトがつながっていくといいな、というのがコンセプトです。
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(猪蔵)うーん、難しいですね。定款の第一項には「半導体撮像素子カメラの開発・製造・販売と技術コンサルティング業務」と書いてある(笑)。
(川井)さっき言った「ライフスライス」のカメラを開発・製造・販売からスタートしよう、としてたんです。“光学・カメラメーカー”がそもそものドメイン(笑)。手にさわれるプロダクトへの憧れがあったんですね。というか、今もあるんですけど。特に、カメラをつくってみたい。「ライフスライス」以降も、いろいろコンセプトモデルを試作してます。人に出会うためのカメラ「Howdy」というモデルとか。それは、四角いフレームの形をしたカメラで、フレームを構えてシャッターを切ると、相手側と、自分側の両方向にレンズが向けられていて、相手の顔と自分の顔、2枚の写真が同時に撮れる、というものです。いつかはカメラを作るとして、今のところのヒマナイヌの活動を説明するとすれば、「広告」「教育」「アート」の3つの領域から成っている、というのが一番適切なんじゃないかと思います。3つが独立しているのではなくて、それぞれクロスオーバーしたプラニングカンパニー、という感じですね。
— あるひとつの領域だけに固定しない、と。
(川井)個人的には、映画に憧れてるんです。映画って、それを観た人の人生を変える、人生に影響を与えるチカラを持っていますよね。人生にキッカケをもたらしてくれる。そういうアウトプットをしていきたいと思ってるんです。狭義の「広告」にとらわれていると、そうしたものは出てこない。ヒマナイヌから出たアウトプットを、若い人が目にして、それでさらにもっとおもしろいことを考え付くヤツが出てくる…、そんな感じを目指したいんですよ。
(猪蔵)育てゲーというか、鮭の放流というか(笑)。才能のある若い人たちに影響を与えたり、機会を与えたり、気付きを与えたり、刺激を与えたり。「アート」、そして「教育」といってるのは、そんなことだったりするわけです。
— なるほど。具体的なプロジェクトにはどんなものがありますか?
(川井)例えば「Podwalker」というプロジェクト。これは、Podcastの仕組みを使った“耳によるAR(拡張現実)”体験ですね。ある街をよく知った人が、街を歩きながらガイドを録音していく。そのトラックを聴きながら街を歩いたらおもしろいじゃないか、というアイデアです。街に通じた人の音声ガイドが、自分が街を歩く体験にレイヤーとして被さるわけです。テレビ番組で紹介されたり、いろんな人が興味を持ってくれました。実際の仕事としては、ある自動車会社のサイトでこのアイデアを使ったコンテンツを制作しました。
(猪蔵)遊んでるようにしか見えない、といわれたりしますけど(笑)、遊んでるように見えて実験してるわけです。結果として、ビジネスになればいいな、と。
(川井)mixiや、Twitterといった新しく登場してきたメディアに積極的にコミットしていくのも、そこで遊んでみないと真の価値はわからないと思うからです。実際にいろんな使い方をして、プラスマイナス含めていろんな目に遭って、それで得られる知見やアイデアがとても重要なんです。
(猪蔵)東京インタラクティブアドアワードでグランプリをとった「mixi年賀状」で、mixi内のコミュニティをファシリテートしていくコミュニティプロデューサーを務めたのも、そうした知見やアイデアがあったからできたことと言えるでしょうね。
(川井)遊ぶ…ということでいえば、アイデアを若い人たちにぶつけて反応をみたり、共に掘り下げてみたり…ということをやりたくて、デジタルハリウッド大学院の専任教授として授業を持ったり、あとはヒマナイヌのオフィスを開放して「寺子屋」という私塾を開催したりしています。一方的な講義ではなくて、みんなで考える、というワークショップのような場。遊びと学びを両立させる場。最近は、「アンビエント・メディア」というテーマで若い人たちと一緒に研究を始めています。“環境に溶け込みユーザーが意識せずに接触する”メディアというコンセプトですね。デジタルフォトフレーム、フラットTV、ナバズタグ、チャンビーなどのデバイスやサービス、iPhoneなどをスクリーンセーバー的に活用する技術、ユーザーが蓄積するログを解析しコンシェルジュ的にフィードバックするテクノロジーといったことですね。
— 今後の活動はどういったものになっていくんでしょう。
(川井)とにかく今現在の自分の感覚を大切にしたいと思っています。“ひっかかり”っていうのかな。あ、これは何かあるぞ、これはおもしろいぞ、と直感的に思ったことがあったら、とにかくそっちに行く。いつも初期衝動のカタマリなので、今後どうなるかは自分でもわかりません(笑)。
(猪蔵)そうした衝動で動いていると、シンクロしたようにいろんな人とつながっていくんです。旬な才能が集まってきてますから、そういう人材をキャスティングしてひとつのプロジェクトに仕立てていく、というのもヒマナイヌの得意とするところと言えます。
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「移動」
(猪蔵)「移動」することかな。「発想は移動距離に比例する」と言った人がいましたが、まさにそうだと思う。
「寄り道と道草」
(川井)私は「寄り道と道草」だな。知らない街を歩いて、そこで銭湯を見つけて入ってみたり、ダメそうな定食屋に入ってみたり。1日だけその街に滞在する外国人観光客にでもなったつもりで、街を眺めると、普段見えてないことが見えてきます。自分と違う人格を憑依させて、世界を見るっていうのかな。アイデアはそういう発想からうまれてくることが多いです。
— ありがとうございました。
株式会社ヒマナイヌ代表/デジタルハリウッド大学院教授。CM 制作会社を経て2004年に「企画と編集」をテーマにしたヒマナイヌを設立。mixi年賀状でTIAAグランプリ、ライフスライス、Howdy?で文化庁メディア芸術祭受賞。twitterでは気付きの犬印でライフログを発信中。(写真左)
いつも腹ペコ。世の中の面白いことを常に探っている在野の雑誌編集者。また映像に関するライティングや著書、ラジオ番組の構成も手がけ、映像、紙媒体、世の中を編集していくことに夢中な三十路。ライフスライス、Howdy?で文化庁メディア芸術祭受賞。「人への思いやり」や「おもてなし」をテーマに頓知の利いた商品を世に送り出そうと奔走中。 (写真右)







